建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律

建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律が、令和1年6月5日に成立し、同月12日に公布されました。

施行期日は、公布の日から1年6ヶ月以内(令和2年12月11日以内)で政令で定める日で、技術検定関係等の一部の規定については2年以内(令和3年6月11日以内)となっています。

主な改正点は次のとおりです。

 1.監理技術者の専任義務の緩和(建設業法第26条関係)

 2.主任技術者の配置義務の合理化(建設業法第26条の3関係)

 3.建設業許可の基準の見直し(建設業法第7条関係)⇒建設業法施行規則における改正の概要(案) -令和2年5月13日現在-

 4.承継規定の整備(建設業法第17条の2・第17条の3)

 5.標識の掲示義務の緩和(建設業法第40条関係)

 

1.監理技術者の専任義務の緩和(建設業法第26条関係)

技術検定を第一次検定及び第二次検定に再編した上で、それぞれの検定の合格者は政令で定める称号を称することができることとしました。政令定める称号については、第一次検定の合格者は級及び種目の名称を冠する技術補、第二次検定の合格者は級及び種目の名称を冠する技士とすることを想定しています。

工事現場に監理技術者を専任で置くべき建設工事について、当該監理技術者の職務を補佐する者として、当該建設工事に関し監理技術者に準ずる者として政令で定める者を専任で置く場合には、当該監理技術者の専任を要しないものとしました。

 

*建設業法第26条(主任技術者及び監理技術者の設置等)
建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第3条第1項第2号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第15条第2号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。
3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前2項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。
4 前項の規定により専任の者でなければならない監理技術者は、第27条の18第1項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であつて、第26条の4から第26条の6までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。
5 前項の規定により選任された監理技術者は、発注者から請求があつたときは、監理技術者資格者証を提示しなければならない。

 

*建設業法第3条第1項第2号

建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの

 

*建設業法施行令第2条 法第3条第1項第2号の政令で定める金額は、4千万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、6千万円とする。

 

 

2.主任技術者の配置義務の合理化(建設業法第26条の3関係)

特定の専門工事について、一定の要件を満たす場合、元請負人が工事現場に専任で置く主任技術者が、下請負人が置くべき主任技術者の職務を併せて行うことができることとし、この場合において、当該下請負人は、主任技術の配置を要しないものとしました。この場合、①あらかじめ注文者の承諾を得た上で、②元請負人と下請負人が合意する必要があり、③元請負人は1年以上の指導監督的な実務経験を有する主任技術者を専任で配置しなければならず、④当該下請負人は、その下請負に係る建設工事を他人に請け負わせてはならない。

 

3.建設業許可の基準の見直し(建設業法第7条関係)

経営業務の管理責任者の「経験要件」について

従来、個人の経験により担保していた経営の適正性を、建設業者の体制により担保することとし、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であることと改めました。つまり、現行の基準を満たしている場合に加え、建設業の役員のみならず相応の管理職の経験等を考慮したものを規定すること等が検討されています。

 

建設業許可要件

社会保険への加入の義務化。(ただし、個人事業で5人未満の事業所は適用除外であり、そもそも社会保険加入義務がありません。)

 

建設業法施行規則における改正の概要(案) -令和2年5月13日現在-

 

4.承継規定の整備(建設業法第17条の2・第17条の3)

建設業の全部を譲渡、合併、分割する場合において、事前に国土交通大臣等の認可を受けることで、事業の承継の日に建設業者としての地位を承継することとしました。また、建設業者が死亡した場合においても、死亡後30日以内に申請し、認可を受けることで、相続人は被相続人の建設業者としての地位を承継することとしました。

 

5.標識の掲示義務の緩和(建設業法第40条関係)

これまで下請業者も含めて工事現場で施工する全ての建設業者に許可証の掲示が義務付けられていたところ、発注者から直接請け負った工事のみを対象とすることとしました。

2019年12月04日